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【初心者を抜け出す!】ボルダリングでレベルアップするための必須ムーブ

ボルダリングを始めてジムに通い始めると、楽しくて毎日足を運んでしまう、なんて方も多いのではないでしょうか。そんなあなたはもう既に立派なクライマーです。安心してください、もう少しすれば生活の中心がクライミングになり、頭の中は常にクライミングのことしか考えていない、という状態になります。(学生諸君、勉学はおろそかにしないように!)

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前置きはさておき、ジムに通い始めて少し経つと目につくのが自分より登れるクライマーの存在でしょう。自分には登れないルートをいとも簡単にスルスルと登っていく姿を見ると、悔しいと思うと同時に「自分もあんな風に登ってみたい!」と思う方も多いはず。

「あのクライマー、自分とどこが違うんだろう。」と考えてみたときに、筋力、保持力、等フィジカル面の違いには気づきやすいと思います。たしかに、筋力や保持力はボルダリングに必要不可欠な要素です。でも、「なかなか登れなかったそのルート、壁の中での動きを一つ変えてしまえばいとも簡単に登れてしまった!」なんてこと、結構ありませんか?

初心者の方は筋トレするよりも、登っていく中で「動き」、いわゆるボルダリング用語でいう「ムーブ」を習得するほうが上達は早いです。というわけで今回は、ボルダリングのムーブの種類と呼び方を解説!上達のためのコツを伝授したいと思います!

そもそもムーブとは「壁の中での体の使い方」のことをいいます。ジムに初めて足を運んだ時に大抵のジムではスタッフの指示で10級や9級などの優しい課題を登ったと思います。そしてそのような課題の場合、足と手を交互に動かして登る、いわゆる「はしご登り」で解決できる課題がほとんどだと思います。しかし、5級や4級の課題になってくると、徐々にはしご登りだけでは解決できない、ホールドの配置が複雑な課題が増えてくるはず。そんな時、一つムーブを知っているだけで簡単に解決できた!なんてことがよくあります。まずは代表的なムーブから見ていきましょう。

正対(セイタイ)

正対とは右手でホールドを取りに行くときに右足をあげ、左手で取りに行くときは左足をあげる所謂「はしご登り」のことです。と、ここまで読んだ時点で読者のみなさんから「いや、さっきはしご登りについては書いてたやんけ!」というツッコミが聞こえてきて喜ばしい限りなのですが、正対は実はものすご~~く重要なムーブです。実は、すべてのムーブはこの正対と二つ目に紹介するダイアゴナルの応用と捉えることもできます。極端な話、この二つさえマスターすれば5級くらいまでの課題は大体登れるようになると思います
正対で一番重要なのはつま先の乗り込みです。よく間違えがちなのが、つま先といっても「爪の先」を意味しているのではなく、「靴底のつま先側の部分」で乗り込む、という意味です。

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Image:https://youtu.be/Y-ZlYhdRCfg

初心者の方によく見られるのが、フットホールドに足をベタッと置く置き方ですが、あれだと距離は出ません。手が伸ばせたとしても、せいぜい腕を全力で伸ばした分の距離くらいしかでません。つま先をフットホールドにしっかりと乗せ、次のホールドの方向に重心を移動していくことが大切です。身体の重心移動のわかりやすいイメージはお尻を移動させていく感覚です。つま先でしっかりと掻き込む重心移動を覚えると、それまでのベタ置きでは考えられなかったくらいの距離が出ます。身長の小さいクライマーは、正しい正対を知るまでは全く距離が出ず、遠い距離出しが必要とされるルートでは全く歯が立たないことがあります。しかし、しっかりとつま先で掻き込んで重心移動をするようになれば、それまででは考えられないほどの距離がでるようになり、また、「登り方がきれいだね」と褒められることも多くなります。ぜひ練習してみてください。

ダイアゴナル

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Image:7 Neil Greshams Masterclass – Outside Edge – YouTube

正対と並ぶ、基本的なムーヴの一つがこのダイアゴナルです。取りに行きたい側のホールドとは逆側の足(右手で取りにいきたい場合であれば左足)をフットホールドからはずし、取りに行く側のホールドの対角線上に置くことによってバランスを取ります。カウンターバランスなんていう呼び方もありますね。
このムーブのコツはズバリ体のひねりです。右手で次のホールドを取りに行きたい場合、保持している左手でしっかりと引き付けて身体をうまく壁側にひねることによって身体と壁の距離が近づき、距離が出せるようになります。これを意識するかしないかでだいぶ出せる距離が変わってくるので意識的の練習してみましょう。

サイファー

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Image:Power Climbing (Inspired by Louis Parkinson) Bouldering session! – YouTube

サイファーは正対やダイアゴナルで取りに行こうとしても距離が足りない場合に使えるムーブのひとつです。例えば右手で次のホールドを取りに行きたい場合、右足を振り子のように振ってその勢いで距離をだすムーブです。このムーブは、フットホールドが低い位置にあり、正対のように乗り込んで距離が出せないような場合でも距離を出すことができるので、様々なシチュエーションで使えるムーブであるといえます。ただ、ホールドを保持した時の体の振られが大きいので、取りに行こうとしているホールドが持ちにくいホールドである場合は体が振られて落ちてしまう場合が多いです。そこは注意しましょう。

ヒールフック

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12 Neil Greshams Masterclass – Heel Hook – YouTube

ジムで登っている人を見ていると、足の踵をホールドや壁のカンテ部分に引っ掛けている人を見たことがあるかもしれません。それが今回ご紹介するヒールフックです。ヒールフックがうまくかかった時の安定感は抜群で、場合によっては両手を離して体を維持させることも可能なくらいです。ヒールフックのコツはしっかりと足を身体側に掻き込むことです。よく初心者の方で、ホールドに足を置くようにして踵を引っ掛けている方を見かけますが、あれだと安定性にやや難があります。足首をしっかりと曲げて掻き込むようにヒールフックをかけることによって、足を置くようにしてかける時では考えられないくらいの安定感がでます。
しかし、このヒールフックは怪我の原因になってしまうことも多いです。ヒールフックのかかりやすい大きめのガバにフックがかかったはいいものの、深い部分までかかりすぎてフォールした時にフックだけ抜けなかった、なんて話もよく聞きます。ジムにはヒールフックを使う課題が結構あると思うので、怪我にだけは注意して練習しましょう。

トゥフック

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PG Climbing Basics Series Episode 5: Heel Hooks & Toe Hooks with Kenn & Brandon – YouTube

ヒールフックとは逆に、足の甲をホールドに引っ掛けて身体を安定させるムーブをトゥフックと呼びます。ヒールフックほどは使う頻度は多くないと思いますが。知っていると何かと便利な足技の一つです。トゥフックもヒールフックと同様、ただ足の甲を引っ掛けるのではなく、甲をカンテやホールドの形状に合わせてしっかりとかけることにより、安定感が増します。コツとしては、すねに力を入れて足首を固定することと、上方向に脚を上げ続けるために腹筋を使うことです。

マスターしてくると、ホールドをつま先で押さえながらトゥーフックという応用技も繰り出せるようになります。こうすることで、トゥフックが外れにくくなるうえに、足が縦に並ぶことで身体をひねりやすくなります。

クロス

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これは壁を横に移動していくトラバースの課題などでよく使われるムーブです。本来ならば保持しているホールドを持ち替えて次のホールドを取りにいかなければならない場合などに、持ち替えずに腕を上、あるいは下から交差させて次のホールドを取りに行く技法です。元々保持しているホールドが持ち替えにくいホールドなどの場合、ホールドの持ち替えにあくせくしてしまうよりはクロスムーブを使ってスムーズに次のホールドを取りに行くのがいいでしょう。

ガストン

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右手で保持したいホールドの向きが左側を向いている、なんてシチュエーションの時によく使われるムーブがこのガストンです。このムーブのコツは単にホールドを保持するだけでなく、持ち手側にきちんと体重をかけてあげることが大切です。正しい方向に体重をかけることによって安定感が増します。反面このムーブは筆者の経験上、肘や肩の故障の原因となることも多いので注意しましょう。肘や肩に違和感のある方は、あまり多用しないように!

さいごに

いかがでしたでしょうか、今回はステップアップするためのムーブをご紹介しました。筆者の経験上、ムーブの習得のコツは、設定されたルートをオブザベーションするときにホールドの位置を頭に叩き込み、壁の中にいる自分を想像して登る前にきちんと脳内シミュレーションをしてから登るのを癖にすることだと思います。やみくもに力技で登ってばかりだとムーブの習得は遅くなっていくと思うので、一つ一つを丁寧にこなしていくようにしましょう。
また、一つのホールドの配置に対して複数のムーブが使える、なんてこともよくあるので、その時の自分にあったムーブの選択ができるようになるといいですね!

クライミングチャンネルではあなたのさらなる豊かなクライミングライフを全力で応援しています!

 

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