最強のチョーク下地「ADD FRICTION」を使ってみた。
古来よりクライマーが戦い続けてきた強敵
人類のスポーツ史にフリークライミングが興って以来、クライマーを古来より悩ませてきた強敵をご存知でしょうか。素手で登るというフリークライミングの特性上、絶対に対峙せざるを得ないヤツのことを…
そう、「ヌメり」です。
手の汗による滑りを抑えるための粉チョークは、その重要さが故に研究・開発が盛んとなり、クライミング界には何十ものチョークブランドが存在します。くわしくはコチラ。粉チョークにこだわりを持つクライマーも多く、ほとんどのクライマーは決まったブランドをリピートしつづけていますよね。
手の滑りに対して開発されたのは粉チョークだけではなく、エタノールと粉のチョークが混ざった液体チョークも広く使われています。松ヤニ(ロジン)を含むものや香りのついている商品まで誕生し、様々な種類の液体チョークがインドア・アウトドア問わずクライミングの様々な場面で用いられています。(アウトドアでのクライミングでは岩に付着物が残りにくいロジンフリーのものが推奨されています。)
しかし、これだけチョークという分野が発展した今でさえ、ヌメりは完全に殺しきれるわけではありません。夏になって湿度が上がれば、ヤツらはすぐに手に纏わり核心ムーブの最中のあなたを壁から弾き飛ばす…。液体チョークと粉チョークを組み合わせて使っても、ヌメる人はヌメるんですよね。
もう他に手はないのか!液体チョークと粉チョーク以外、もうヌメりに対抗できるものはないのか、と思った方に朗報です。粉チョークでもなく液体チョークでもない、クレイタイプのチョークなるものが、ADD FRICTIONより発売されております。「最強のフリクション」と話題の、しかもチョークに「下地を」という新しい発想のもと開発されたこのADD FRICTIONのチョークを、今回は実際に使ってみました!
目次
チョークの下地という新たな概念
ADD FRICTIONを手に入れたので、さっそく岩場(御前岩・奥多摩)で使用感を確かめます。
ADD FRICTIONは、粉チョークと液体チョークの間とでも言えるでしょう。クリームのようなケースの中に入ったそのチョークは、まるで粘土のよう。
少し手に取ろうとすると、なるほど。気温が低いので少し固くなっていました。親指の爪側で少し力を入れながら押し出すようにすることで、簡単に適量取り出すことができますね。
10円玉くらいの体積を、とりあえず掌の全体と、指の腹に塗っていきます。手に広げていくと、ほのかに身体に良さそうな甘い香りがします。
こだわりぬいた天然由来の原料
香りといってもそこまで強いものではなく、ホントに「ほのか」なものです。どうやらこれは意図的につけたものではなく、原料由来の自然な香りのようです。一般的な粉末チョーク製品の主成分である炭酸マグネシウムのほか、エタノール・グルコース・蜜類を主な原料として使用しています。そのため、口に入れても安全なほど材料にこだわり抜いたつくりとなっています。また、皮膚に対する保護効果もあるため、液体チョークを小さな傷口に塗ってしまった(よくある!)ときのように痛むことはありません。
あくまで「チョーク下地」であるため、(もちろんそのまま登っていただくことも可能ですが、)ADD FRICTIONをのばした上から粉チョークをつけて準備完了です。
岩場での使用感は…?
最高でした。
ホールドを持った手に荷重をかけるとキュッキュッとブレーキがかかる感じがします。松ヤニや研磨剤のように摩擦を加えてストップをかけるのではなく、滑らないゴムでブレーキをかけてる感じです。(伝わりづらいですね…。)
「一度使用したらもう辞められない!」とまでは言いませんが、それでも使用時と未使用時の違いは絶対に分かるほどです。個人的な感想ですが、手のひらよりも指先に使用した場合のフリクションの増し方が大きかったです。おそらくカチ系課題の対策には持ってこいの存在です。乾き手のよくホールドを弾いてしまう手の方には強い味方になり得るでしょう。
3センチほどのケースに入っていることからお分かりいただけるとは思いますが、内容量は見た目かなり少ないです。なので最初は「もったいなくて、ここぞの本気トライにしか使えないかな?」と思っていたのですが、手全体に薄く伸ばして使うため、下地としての使用1回あたりの消費量はかなり少なくなります。おまけに、(今回は1回の使用で20m超のルートを2本トライしましたが、)体が温まって手汗をかき始めるまでは効果は変わらず。ルート上部までしっかり効いていました。つまるところ、1個持っていれば皆さんの想像以上に長持ちするってことです。
しかしながら、手汗をかくとやはり下地ごとチョークが落ちやすくなります。ヌメり手と自覚してるクライマーはきっと、「きっと使う量多くなっちゃうんだろうなあ…」、「ヌメり手クライマーはもうクライミング辞めるか…」と、そんな悲しいことを考えてしまったかと思います。
ヌメり手のクライマーに更なる朗報!
ちゃんとありました。ヌメり手クライマーのために作られたADD FRICTION for WET。価格は通常タイプと同じ¥1,500(税別)ですが、通常タイプとは原料の配合比率が違うようです。そして通常タイプの内容量が25グラムのところADD FRICTION for WETは30グラムとなっており、使用頻度の心配なヌメり手クライマーに配慮した良心的サイズアップ!手にも財布にも、ヌメり手クライマーたちの強い味方になってくれることでしょう。
ジムでも効果を発揮!
岩場での使用感をお伝えしてきましたが、もちろんジムでも使えます。ジムは暖房が効いて暖かいので、冬場は私は自然とヌメってしまいます。なので、今回はfor WETを使用します。
適量を手に取り、粉チョークをまぶして準備完了です。さっそく4時間ぶっ続けで登ります。
インドアでの使用感は…?(for WET)
インドアでの使用感も申し分ありませんでした。効果の持続も通常タイプと同様、ボルダーでも7、8トライくらいは効果が続きます。
ヌメり手の私の個人的な感想ですが、通常タイプのADD FRICTIONの感触に加え、スローパーのフリクションも上がるように感じられました。もちろん、どのホールドでも効果を実感することはできましたが、特にスローパーを保持した時の効果が大きく、スローパーに苦手意識のある方にとっては非常に効果的なアイテムでしょう。やはり使用、未使用の違いを実感することは簡単でした。
ADD FRICTIONをタダで手に入れる方法!?
クライミングチャンネルでは、どんなグレードのボルダー課題でも外岩の動画を投稿するとポイントが付与され、そのポイントをクライミングアイテムと交換することができます。
<ADD FRICTIONの交換ページはこちら>
<ADD FRICTION for WETの交換ページはこちら>
ADD FRICTION、一度使えばその性能に皆気が付くことでしょう!
岩場でもジムでもこれだけ効果を実感できるのですから、すべてのトライが本気撃ちになるコンペでも、もちろん活躍してくれることでしょう。決勝アイソレーションで、選手がみんなADD FRICTIONを手に塗り込んでスタンバイする日も遠くないかも…。
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